――安らかな眠りが欲しいと願うのは贅沢なのか?


Midnight trick


 ほとんど徹夜状態で仕事を終わらせて、 疲労困憊の体に鞭打ってシャワーだけ浴びてベッドで気を失うように眠りについたはずの俺は、 いつのまにかでっかいテディ・ベアの如く横で眠っている男−ルキーノに逆に抱きつかれていた。 どうりで苦しいはずだ。 ただでさえその巨体に見合う力を持っているというのに、その腕で抱き潰さんがごとくに抱きしめられればそりゃ苦しいだろうが。
 っつーか、いつのまに戻ってきていたのだろう。 今日はここに戻れそうもないから仕切りの店で一夜を明かすと聞いていたのだが。 それを聞いたから……徹夜して少しでも傍にいない寂しさを紛らわそうとか、そんなことしていたというのに。 俺も弱くなったものだなぁ〜とか思ってみたりして。 間近に見えるルキーノの寝顔に安堵する自分が恥ずかしい。
「…るきーの……」
 まだ眠いせいか舌ったらずな声が出たが、どうせルキーノは寝ているから気にしない。 眠る顔を静かに見つめてみる。 野性的な肌の色、ライオンの鬣のような赤い髪、同色の眉と睫毛。 案外それが長いことに今更気付くのもどうだろうか。 普段は縛っている後ろ髪がおりるとさらに野性味が増す。 耳が隠れるせいだろうか。
 そんなことをつらつらと考えていると、ふいにその顔が近付いてきた。
「ぅえっ!?」
 近付くどころか思いっきり喰らい付かれる。唇を覆われ舌を引きずりだされ、歯をたてられた。
「いっ……つー!!!!」
 噛み付かれた舌を出したまま顔を引いて腕でどうにかルキーノの体を押しのけて離れれば、 眠っていると思っていた野獣のギラついた目がそこにあって本能的に『ヤバイ』と思い逃げようとするが、時既に遅し。
「どこ行くんだ?ジャン」
 甘い掠れた声で言われれば体は硬直し、やすやすとその腕に捕らわれてしまう。
「ど、どこって……!!!!っつーかお前!!!!寝てたんじゃ」
「起きてたが?」
「今日は戻らないって……」
「そのつもりだったんだがな」
 そう言いながらその手は俺の背中をくすぐり、 下着をかいくぐってケツの割れ目を撫で始めていた。ぎゃーー!!!!
「一人寝は味気ないだろう?」
「だ…ったら、っお前の仕切りの店で美人に添い寝でもしてもらえばいいだろうが……んっ」
「そういう可愛くないことをいうなって。お前だって、実は待ってたんじゃないのか?」
「誰が!!!!」
「下着一枚でベッドの上で転がってた金髪の可愛いわんわんのことだが?」
 た、たしかに下着一枚で寝てたけど……!!!! それは疲労困憊で力尽きた結果なだけで別に待ってたとかそういうことじゃないって、 言っても聞かないのがこの男だよな。 さてどうしたもんか。はっきり言ってまだ眠い。このまま眠りたい。 だがそう簡単に眠らせてくれるだろうか。いや、ムリだろう。
「あ、あのなルキーノ。俺、徹夜で仕事しててはっきり言って物凄く眠い。このまま眠らせてくれると……」
 嬉しいなぁ〜って言おうとしたら、 ルキーノがシーツに潜り込み俺の下着を一気に引き摺り下ろして……ギャーーーー!!!!(本日2度目だ)
「バッ……バッカ野郎!!!!触るな揉むな弄るな舐めるな!!!!イーーヤーーーー!!!!」
 よりによって一番敏感な場所を弄りたおし始めた。


もう……眠るのは諦めたほうが良さそうだ。





END


アトガキ

 中途半端なうえに、暗転ばっかでスミマセン。 だってえろ書くのは体力使うんですもの。 そのうち我慢できなくなれば書きます。 ってか相方と約束してるから書きます。絶対に。
 ルキーノの髪って縛らないとどうなるんでしょうね。 べつに長いわけじゃないみたいだし、 ただ単に顔に掛かる横髪をまとめてるだけのような気がしたので、 きっとおろしたら耳が隠れると予想しました。

2009/07/25